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前橋市議会 「換価の猶予」申請の創設のため市税条例を改正 賛成討論する中道浪子 

 私は、日本共産党前橋市議団を代表して、議案第127号から132号、134号、138号から149号の19議案について賛成しますが、特に、議案第134号前橋市市税条例の改正について賛成の討論を行います。

この条例改正は、地方税法の改正に伴い、納税者の負担の軽減を図るとともに、早期かつ的確な納税の履行を確保する観点から、納税者の申請に基づく換価の猶予制度を創設するなどの地方税の見直しを行うもので、1つに、徴収猶予及び換価の猶予に係る分割納付の方法、2つに、申請による換価の猶予に係る申請期限、3つに、徴収猶予及び申請による換価の猶予に係る申請書の記載事項及び添付書類並びに申請書及び添付書類の訂正期限について改正し、来年4月1日から実施しようとするものです。

まず、換価の猶予についてですが、今回の改正は、これまでの市長の「職権」による換価の猶予を残しつつ、「申請」の換価の猶予制度が創設され、今後は「職権」と「申請」の2つの換価の猶予制度が併存することになります。「申請」の換価の猶予の適用要件は、①納税の誠意が認められること(職権型も同じ)、②一時に納付することにより、事業の継続またはその生活の維持を困難にする恐れがあること、③納期限から6か月以内に提出された申請に基づくことの3点です。
創設された「申請」の換価の猶予は、納税者の申請権が認められ、猶予の不許可に対して不服申し立ての権利を行使できるようになったという意味で、大変大きな意義があり、賛成するものです。

しかし、実際は、条例改正されても使い勝手が悪く、簡略化して申請しやすいようにしなければ、条例改正の趣旨に反します。
その1つは、換価の猶予の許諾を判断するのに、納税者いわゆる滞納者の財産情報を必要とすることから、申請者等に「財産目録」の提出を義務付けていることです。 
2つは、換価の猶予の申請の時、例えば申請者等が職員の質問に答弁せず、または検査を拒み、妨げ、もしくは忌避(きひ)した時、及び不当な目的で猶予の申請等が行われた時、その他申請が誠実にされたものでないときのいずれかに該当する場合、猶予を認めないことができるとの規定が置かれました。この規定は、職員の調査権及び職員の質問検査権を踏まえたうえでの規定であることから、明らかに新たな質問検査権の創設であり、これらが強められたら、実質申請権がないものと同じになりかねません。納付できない事情の詳細や財産目録、及び担保の提供などを滞納者に厳しく求めれば、税理士や公認会計士、弁護士などの税の専門家に依頼しなければ申請することができなくなるおそれがあります。従って、条例改正の趣旨が生かされるように、申請の手続きは簡略化し、申請しやすいように改善すべきです。

続いて、徴収の猶予についてですが、内容は換価の猶予とほぼ同様ですので、簡略します。

なおこの際、本市の滞納整理において、以下の点について改善を求めるよう申し述べておきます。
第一は、今、滞納整理の主たる手続きを預金債権の差押えを中心にしていますが、今回換価の猶予の申請権が条例改正で認められたことから、預金債権の差押えた日から間を置かずに換価するのではなく、滞納者に差押え調書を直ちに送付し、その際に換価の猶予の申請権があるということを告知すべきであります。そのようにしなければ、今回の条例改正の趣旨が生かされないと思います。よって、第二は、滞納者への差押え調書の送付が大変遅れがちになっているため、直ちに改善すべきです。
第三は、格差と貧困が広がる中で、困窮している滞納者の生活実態をしっかり受け止め、徴収の猶予、換価の猶予制度の申請の権利を十分認めて、市民の基本的人権や生存権、財産権を保障すべきです。

本市では、これまでの「職権」の換価の猶予制度の活用について、2013年以降今日まで全く扱いがなくゼロ件です。徴収猶予制度については、申請制度がすでにありますが、過去3年間の内、1件の申請があったものの不許可となり、活用はゼロ件です。
このようにこの間、滞納者の困窮に陥った状況を本市では「職権」を行使して救済することなく、昨年度10,768件もの差押えで市民を震撼させた実態を踏まえて、今後の滞納整理の根本的な改善を求めて、議案第134号の賛成討論といたします。

by nnakamiti | 2015-12-10 20:08